内祝いとは?
何かいただき物をしたとき、感謝の気持ちを込めてお返しの品を贈るのは一般的なマナーです。ですから、お祝いをいただいたときも、お返しを贈るのがよいでしょう。現代では、お祝いをいただいたときのお返しを内祝いといっています。
内祝いの本来の意味は?
内祝いはもともと、自分にお祝いごとがあったときに、親戚や周りの方々を招待してお披露目をし、祝膳などでもてなすことをいいました。お祝いをもらう、もらわないに関係なく、お祝いごとがあった側が先にもてなすことが内祝いだったのです。
現代の内祝い事情
しかし、現代ではお祝いごとがあった側が率先してもてなすことが少なくなり、お祝いをいただいたときにお返しをすることを内祝いというようになりました。地域によって事情は異なりますが、お祝いをいただいた場合に品物などでお返しをするのが、現代の内祝いのスタンダードとなっています。
内祝いの種類
結婚内祝いをはじめ、出産内祝いや初節句の内祝いなど、さまざまな内祝いがあります。ここでは、結婚や子どもに関わる内祝いを中心にご紹介します。
結婚内祝い
ふたりの結婚を祝い、お祝いをくださった方へお返しをするのが、結婚内祝いです。ただ、結婚の際には結婚式をする人も多いでしょう。結婚式に出席してくださった方に対しては、結婚式でおもてなしをして感謝の気持ちを伝えるので、改めて結婚内祝いを贈る必要はありません。
結婚式に出席していない方がお祝いをくださった場合、結婚内祝い(お返し)を贈ります。結婚式を行っていない場合は、お祝いをくださった方全員に内祝いを贈ることになります。
結婚内祝いののし紙は、赤白の淡路結び(あわび結び)や真結び(結び切り)の水引が印刷されているものを用い、表書きは「寿」あるいは「結婚内祝」などとします。水引の下には、ふたりの新姓や新姓+ふたりの名前を記します。
出産内祝い
出産に際してお祝いをくださった方へお返しをするのが出産内祝い(お返し)です。贈る時期は出産1カ月後、ちょうどお宮参りをする頃が目安です。なお、出産1カ月を経てからお祝いをいただいた場合は、いただいてから3週間が目安とされます。ただし、出産後はママや赤ちゃんの体調が優れないこともありますから、「1カ月後」にとらわれ過ぎることはありません。
出産内祝いののし紙は、赤白の蝶結び(花結び)の水引が印刷されたものを選び、表書きは「内祝」や「出産内祝」とします。水引の下には、姓ではなくて赤ちゃんの名前を書きます。名前にはふりがなを振るとよいでしょう。
出産以降の子どものお祝いのお返し
子どもの成長の節目には祖父母やおじ・おばなど、親しい人からお祝いをいただくことがあるでしょう。その場合には、内祝いが必要な場合があります。
初節句内祝い
節句とは季節の節目となる日のことをいい、代表的なものが五節句です。そのうち、上巳(じょうし)の節句(3月3日)は女の子の成長を祈る節句、端午(たんご)の節句(5月5日)は男の子の成長を祈る節句で、赤ちゃんが生まれてはじめて迎える上巳の節句と端午の節句を初節句といい、女の子は上巳の節句を、男の子は端午の節句をお祝いします。
初節句に際してお祝いをいただいた場合、お祝いの会などを開くのであれば、別途内祝い(お返し)を贈る必要はありません。食事会を開催しない場合は、内祝いを贈るとよいでしょう。初節句内祝いののし紙は出産内祝いと同様、赤白の蝶結び(花結び)の水引が印刷されたものを選び、表書きは「内祝」や「初節句内祝」とします。水引の下には、子どもの名前を書きます。
初誕生内祝い
初誕生日は1歳の誕生日のこと。1歳まで成長したことを祝って、とくに盛大に祝うことが多いようです。初誕生日には「一生餅」や「選び取り」などの儀式を行う地域もあります。初誕生日に際してお祝いをいただいた場合、お祝いの席を設けるのであれば、内祝い(お返し)は必要ありません。お祝いの会を開催しない場合や、お祝いをくださった方がお祝いの会に出席しなかった場合には、内祝いを贈ります。
初誕生内祝いののし紙は、赤白の蝶結び(花結び)の水引が印刷されたものを選び、表書きは「内祝」や「初誕生内祝」とします。水引の下には、子どもの名前を書きます。
七五三内祝い
七五三は、3歳と7歳になる女の子、5歳になる男の子(地域により3歳の場合もある)の健やかな成長を祈る行事です。基本的には、七五三のお祝いには内祝い(お返し)は不要とされますが、いただきっぱなしでは心苦しいという場合は、高価過ぎないギフトを用意するのがおすすめです。
入園・入学内祝い
幼稚園や小学校、中学校、高校、大学などに入学した際には、お祝いをいただくことがあるでしょう。これらは基本的には祖父母やおじ・おばなど、親しい人から子どもに対して贈られるものなので、内祝い(お返し)は不要とされています。ただし、いただきっぱなしで心苦しいと感じるなら、高価過ぎないギフトを内祝いとして贈ってもよいでしょう。
卒園・卒業内祝い
卒園や卒業に際してのお祝いに関しても、入園・入学内祝いと同様、内祝い(お返し)は不要とされます。ただし、いただきっぱなしで心苦しいと感じるなら、高価過ぎないギフトをお返しとして贈ってもよいでしょう。なお、卒園や卒業のお祝いと入園・入学祝いのお祝いは一緒にして、卒園・卒業祝いのタイミングで贈られることも多いようです。
新築内祝い
新しい家を建てた場合、お披露目も兼ねて親しい方々を新居に招待することが多いのではないでしょうか。そこで十分なおもてなしができれば、新築祝いに対して別途内祝い(お返し)を贈る必要はありません。ただ、お祝いをくださった方を新居に招待できなかった場合は、内祝いを贈るとよいでしょう。
新築内祝いののし紙は赤白の蝶結び(花結び)が印刷されているもので、表書きは「内祝」または「新築内祝」とします。水引の下には、贈り主や世帯主の姓あるいは姓名を書きます。二世帯住宅などで名字が複数ある場合は連名にし、親の姓を右側に書くようにします。
快気内祝い・快気祝い
お祝いをいただいたとき、お返しとして贈るのが内祝いですが、病気やけがなどで入院や療養をしているときにお見舞金をいただいた場合、元気になったときに贈るお返しは快気内祝いとなります。
ちなみに、快気祝いは相手が病気やけがで入院していたことを知らなかったとき、病気が治ったことを知った親しい人が「全快おめでとう」の意味で贈るものです。
なお、お見舞金をいただいたものの、入院や療養が長引きそうで、お見舞金を受け取りっぱなしでは心苦しいという場合は、見舞ってくださった感謝の気持ちを込めて「御見舞御礼」を贈るとよいでしょう。
快気祝い・快気内祝いののし紙は、赤白の真結び(結び切り)の水引が印刷されたものを用い、表書きは「快気祝」「快気内祝」などとします。水引の下にはけがまたは病気をした本人の姓または姓名を書きます。
お返しが必要な贈り物と不要な贈り物がある
基本的には、贈り物をいただいたらお返しをするのがマナーとされますが、お返しが不要な場合もあります。
【基本的にお返しが必要】
結婚祝い(結婚式に出席しない場合)、出産祝い、新築祝い(新居に招待しない場合)、お見舞い
【基本的にお返しが不要】
初節句祝い、初誕生祝い、七五三祝い、入園・入学祝い、卒園・卒業祝い、栄転祝、餞別、災害見舞など
お返し不要の場合は、「内祝い」の席を設けるのも一つの方法
子どもには経済力がないため、子どもに対して贈られるものは基本的にはお返しは不要とされます。初節句や初誕生、七五三、入園・入学などは、祖父母やおじ・おばなどのごく身近な親戚が祝うケースがほとんど。その場合は、まさに本来の意味での内祝いとして、お祝いの席を設け、おもてなしをすることでお返しとします。
なお、子どもへのお祝いですから、子どもが話せるようになっていれば、子どもからお礼の気持ちを伝えるように親が促すとよいでしょう。
マナーを知って、気持ちのよいお付き合いを
現代の内祝いは、本来の意味とは少し異なり、お返しの側面がとても強くなっています。お返しと考えると、なんだか面倒なもののように思えてしまいますが、相手からの「おめでとう」に対して、「ありがとう」の気持ちを託す品物だと思えば、もっと前向きに考えられるのではないでしょうか。贈り物のやり取りは、人間関係を豊かに、円滑にするための一つの手段です。基本のマナーを知った上で、できる範囲内で行うことで、周りの人たちと気持ちのよいお付き合いができるはずです。