記事公開日:2022年4月21日
最終更新日:2022年7月20日
身近な方に赤ちゃんが生まれて、お祝いにお金を贈りたい。ご祝儀袋は用意したけれど、お札を用意するタイミングで「いくら包む?」「お札ってどう入れるんだっけ?」と悩みますよね。出産祝いをはじめ、お祝い事に共通する正しいお金の贈り方を紹介します。
出産祝いとしてご祝儀を贈る際、ずばり一番気になるのが金額。ご祝儀の額は贈る相手、つまり赤ちゃんのパパ・ママとの関係性によって変わります。全国平均的な出産祝いの相場を確認し、自分が贈るちょうどいい額を探りましょう。
赤ちゃんの祖父母として贈るお金は、3万円~5万円を目安に、それぞれの家でベストと思う金額を用意するのが◎。実際には地域ごとに相場があったり、待望の孫誕生ということで高額なお祝い金を贈りたいというケースもあるでしょう。赤ちゃんの親である息子・娘に希望額を聞いたり、もう一方の家と相談して金額を揃えるのもおすすめです。
相場は1万円~3万円。普段から親しくても逆にあまり交流がなくても、赤ちゃんに近い立場としてきちんとした額を包みます。
相場は5000円~1万円ですが、普段のお付き合い度によって調整を。親しい間柄ならきょうだいと同等額でもいいですし、祖父母ならたくさん包んでも。逆に疎遠でほとんど交流がない場合は、無理に贈らなくても問題ないでしょう。
相場は3000円~5000円。連名で贈ってもOKですが、相手に気を使わせてしまうような高額にならないよう注意しましょう。
職場単位なら、1人当たり500円~1000円程度をまとめて贈ります。上司が多めに出す場合もそのまま合算するのが基本ですが、金額が異なることを伝える必要があるなら個別に贈りましょう。上司なら5000円~1万円、同僚や部下なら3000円~5000円が相場です。
ご祝儀の金額設定は赤ちゃんのパパとママとの間柄が一つの目安ですが、贈り主の年齢や仕事の有無を考慮することも大切。
30代以上で仕事を持っているなら、相場の高めを意識。逆にきょうだいでも、学生なら相場以下の5000円程度で十分ですし、お金ではなくプレゼントでもいいでしょう。
昔からお祝い事には奇数が尊ばれ、ご祝儀も1万円、3万円などが選ばれます。結婚祝いの場合は2など割れる数を避ける傾向にありますが、出産祝いの場合は、お札の金額、枚数共に偶数でも問題ありません。末広がりの8などは縁起のよい数字の一つです。
ただし、忌み数とされる4と9は避けたいもの。特に連名で贈る場合、合計額が忌み数になってしまわないよう、金額をプラスするなどして調整します。
“人に差し上げるお札はまっさらで清潔なものを”という意味で、新札を用意するのがマナー。銀行や郵便局で交換してもらいましょう。流通済みでも折り目のないきれいなピン札は可です。複数人で千円札を出し合った場合は、万札に両替します。
ご祝儀袋は、お金を入れる中包み(中袋)と、のしが付いた上包み(外包み)の2重セットが基本。上包みには、水引の上中央に「御祝」「御出産御祝」などの名目を、下中央に贈り主の名前をフルネームを書き入れます。中包みには、表面の上中央に大字(または漢数字)で金額を、裏面の左下に贈り主の住所、氏名を記入。お祝い事なので、毛筆(筆ペン)か黒の太めのサインペンで、濃く力強く書きます。
ご祝儀の場合、お札は人物画が「表」かつ「上」になるよう入れます。お札を取り出したとき肖像画から出てくる形が正解です。
表面を揃えて、中包みを上包みに入れます。上包みの裏側は、 “喜びで上を向く”意味で「上→下」の順で畳み、折り返しを上向きにします。
ご祝儀袋が傷まないよう、慶事用の明るい色(または慶弔兼用の紫)の袱紗に包んで完成。渡す際は袱紗からていねいに取り出し、相手側に向けて両手で渡します。
出産祝いは、赤ちゃんとママが退院して落ち着いたころに渡すのがおすすめ。生後7日目には「お七夜」と呼ばれる命名イベントがあり、生後1カ月後頃には「お宮参り」が行なわれるため、その間となる生後10日~1カ月がちょうどいいタイミングとされています。
実際には、赤ちゃんとママの状況に合わせるのが一番よいので、出産報告を受けたらさりげなく体調や退院日を聞いて、ご祝儀を渡すタイミングを見計らいましょう。
なお、赤ちゃんに万が一のことがある場合を考慮し、生後すぐには贈らないようにします。
自由に使ってもらえる現金は、赤ちゃんのパパ・ママにとって大変喜ばれる贈り物。一方で、贈る側が金額やマナーに捉われすぎて、本来のお祝いの気持ちがかけ離れてしまうのはよくありません。金額の相場を参考にしつつ、状況によっては品物を組み合わせるなどしてもOK。自分らしいお祝いの形で気持ちよく届けましょう。
岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。