記事公開日:2022年9月21日
最終更新日:2022年9月21日
友人や親戚に「赤ちゃんが生まれた」というとても嬉しいお知らせが!でも、お祝いってどんなふうに贈ればいいの?マナーはあるの?どんな封筒に入れたらいいの?書き方は?そんな疑問にお答えします。
分からないことが多い「のし袋・ご祝儀袋」の選び方や、書き方をご紹介します。
「のし袋」は、お祝いの時にお金を入れて相手に贈る金包のことで、「上包み(外包み)」「のし(熨斗)」「水引(みずひき)」で構成されており、結婚や出産祝いでは「ご祝儀袋」と呼ばれます。(お金包みにはさまざまな種類があり、お葬式などの弔事でも使用され、その場合は「香典袋(不祝儀袋)」と呼ばれます)
のし(熨斗)の由来は、あわびを薄く伸ばして干した「熨斗鮑(のしあわび)」から来ています。縁起物で、神さまへの供えものや儀式用の肴(さかな)に用いられていましたが、贈り物に添えるスタイルへと変化していきました。熨斗鮑は貴重で手軽に入手できないため、次第に紙を折った「熨斗」で代用する風習に変化し、水引と熨斗が印刷されたのし紙を贈り物に掛けるスタイルが一般的になりました。
のしと水引には長い歴史の中で相手の幸せを願う意味が込められています。贈る相手との関係性にもよりますが「のし紙は掛けるべき」と覚えておきましょう。出産祝いとして現金を贈る際は「ご祝儀袋」に入れて、プレゼントには「のし紙」を掛けるとよいです。
出産祝いのご祝儀袋は、慶事にふさわしい明るく華やかなものを選びます。伝統的な色なら紅白、赤白、金銀を使ったものを。最近は、かわいらしい印象の淡いパステル系も人気です。
また、のし袋は包む金額によって選ぶのが基本です。
中身の金額に対して、凝ったデザインや豪華すぎて、袋だけが目立ちすぎるのはNG。
包む金額ごとの、のし袋の選び方を紹介します。
【3000円~5000円】
一般的なのし袋(ご祝儀袋)に包みましょう。水引がプリントされ、中包みも省略されたカジュアルなタイプでも構いません。
【1万円~3万円】
普通の紙製でもよいですし、ガーゼやハンカチなどでご祝儀を包んでいるなど、少し凝ったデザインのものを選ぶのもおすすめです。かわいらしさと特別感を演出できます。
【3万円以上の場合】
水引が印刷されたシンプルなのし袋に入れるのは、少し不釣り合い。華やかなデザインにアレンジされた、デザイン性の高いのし袋に包むのがおすすめです。
・水引
お祝い事なので、赤白の水引の水引を選びましょう。
出産祝いは何度あってもうれしい出来事なので、何度も結びほどきができる「蝶結び」(花結び)の水引を選んでください。一度結ぶとほどけない「結び切り」はNGです。
また、水引の本数は、ご祝儀の金額に合わせるのがマナー。1万円~3万円を包むなら「5本」、5万円以上の高額なら華やかな「7本」、3000円や5000円なら水引が印刷されたカジュアルなご祝儀袋でもOKです。9本は一番格の高い水引ですが、あまり使用されていません。5本の水引を2束使用する10本の水引も結婚祝い用なので適しません。
・熨斗紙の書き方
名目は、上中央に「御祝」(お祝)または「御出産御祝」(ご出産お祝)と書くのが基本です。親しい友人でラフな関係なら「ご出産おめでとう」とメッセージにしてもOKです。
水引を挟んで下中央に、名目よりやや小さめに贈り主の名をフルネームで書きましょう。複数名で贈る場合は、人数によって書き方が変わります。
お祝い事なので、毛筆(筆ペン)か黒の太めのサインペンで、濃く力強く書きます。
[連名で贈る(3名まで)]
→右から目上の人順または五十音順で、均一な大きさで書く。全員フルネームで。
[連名で贈る(4人以上)]
→中央に代表者のフルネーム、左にやや小さく「外一同」と書く。
[夫婦や家族で贈る]
→中央に代表者のフルネーム、左にその他の家族の名を並べて書く(3人までOK)。4人以上の場合は、代表者の左にやや小さく「家族一同」とする。姓が異なるならそれぞれフルネームで。
[会社・所属単位で贈る]
→一番右に、会社名・所属名を名前より小さめに書く。
・中包みの書き方
表の上中央に、ご祝儀額を記載します。「金 壱萬圓」のように難しい大字を使用し縦書きします(金額の書き換えを防ぐためにといわれています)。
裏には、送り主の住所と名前を記入。贈られた相手が内祝いを送る際に必要な情報になるので、番地だけでなくマンション名までしっかり書きましょう。連名で贈る際に、裏に住所が入らない場合は、白紙を用意して記載し、折りたたんで同封します。
「出産祝い」を贈る際のマナーをご紹介します。
出産祝いとして、現金を包むのか品物を贈るか、特に決まったマナーはありません。親や祖父母からは現金を贈るケースが多く、一方、友人や会社同僚に贈る際には品物を選ぶケースが多いようです。親族間や職場では、過去の事例から、金額や現金・品物について取り決めがある場合も。今までのルールや相場を事前に確認しておきましょう。
贈る目安は、赤ちゃん誕生から「10日目~1カ月」といわれています。
赤ちゃんとママが退院した後、少し落ち着いたタイミングを見計らって贈りましょう。生後7日目の「お七夜」から、生後1カ月頃の「お宮参り」の間がよいとされていますが、新生児は体調が不安定で、ママもまだ本調子ではありません。特に直接手渡したい場合は、産後すぐは避けた方がよいでしょう。赤ちゃんの誕生をしばらく経ってから知った場合は、報告を受けてから1カ月以内を目安に手配してください。
出産祝いの渡し方は、「パパ・ママに直接手渡しする方法」と「郵送」があります。相手の都合もあるので、希望を確認して決めましょう。「赤ちゃんの顔を見てほしい!」と誘われたら日時を決めて自宅訪問してOKです。パパには職場などで手渡す方法も。
相手が訪問を希望していない場合は、負担にならないよう現金書留や宅配便で送るとよいですね。ネットショップや店舗から、直接相手の自宅に送る方法もあります。里帰り出産しているママには、自宅と実家どちらに送るべきか、日時指定も必ず確認してから送りましょう。
出産祝いで一番気になるのは「金額」ですよね。出産祝いの額は、赤ちゃんのパパ・ママとの関係性によって変わります。相場を確認して、贈る額を決めていきましょう。相場以上の金額を、贈る相手から前にいただいている場合は、同額程度を贈ってください。
・友人
相場は3000円~5000円。友人グループで出し合って、連名で贈ってもOKです。
・職場関係
個別に贈る場合は、上司なら5000円~1万円、同僚や部下なら3000円~5000円が相場です。職場単位なら、1人当たり500円~1000円程度をまとめて贈ります。
・きょうだい
相場は1万円~3万円です。普段あまり交流がなくても、おじ・おばとしてきちんとした額を包みます。まだ学生の場合は、親と相談して決めましょう。
・親族
相場は5000円~1万円ですが、普段のお付き合いの深さによって調整を。とても親しい間柄ならきょうだいと同等額でもよいですし、逆に疎遠でほとんど交流がない場合は、親と相談して無理に贈らなくても問題ないでしょう。
出産祝いのマナーが分からず、どうしよう?と思うこともあるかもしれませんが、赤ちゃんを出産したママに気持ちよく受け取ってもらうための心遣いになります。覚えておくと「こんなにきちんとお祝いしてくれて嬉しい」と思ってもらえます。マナーを知って、出産祝いを贈りましょう。
岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。