記事公開日:2023年12月20日
最終更新日:2025年4月28日
贈り物をいただいたら、お返しをするのが基本的なマナー。これは出産祝いでも同様です。親からの出産祝いに対しては、身内なだけにお返しをするの?と戸惑う人もいるかもしれません。この記事では、親への出産内祝い(お返し)について、基本的なマナーやどんな品物を贈ればよいのかを具体的にご紹介します。
赤ちゃんが生まれた際、親しい人や日頃からお世話になっている方々を家に招き、赤ちゃんのお披露目をしながら飲食を共にし、贈り物を贈って、喜びを分かち合うのが本来の「出産内祝い」です。けれども、最近はいただいた出産祝いに対するお返しという意味で使われることが多くなっています。
親への内祝い(お返し)については、親は身内という考え方からお返しを贈らなくてもよいとされることもあります。ただ、親から独立して新しい所帯を持ち、子どもも生まれたわけですから、けじめとして内祝い(お返し)を贈ってはいかがでしょうか。
親にとっては、パパママは自分のかわいい子ども、赤ちゃんはかわいい孫です。「お返しなんて他人行儀なものはいらないし、気兼ねなく使ってほしい」と考えていることが多いでしょう。そのため、「内祝い(お返し)はいらない」と伝えてくれることも。
その気持ちを汲んで、お礼はなしというのでも問題ありませんが、感謝の気持ちはしっかり伝えたいもの。大げさなお返しはしないとしても、「ありがとう」の言葉と共に親が好きなお菓子や食べ物などを贈ると喜ばれるでしょう。
親への出産内祝いギフトはどんなものがいいのでしょうか。ここでは選び方のポイントについてご紹介します。
出産祝いへのお返しですから、やはり赤ちゃんに関連するものがよいでしょう。赤ちゃんの名前や写真が入ったギフトは、出産内祝いギフトの定番。名前や写真が入ったパッケージは取っておけるので、とてもよい記念になるはずです。スイーツやお米、お酒など、バラエティに富んだ品物に名前を入れることができます。
相手に喜んでもらえるものを贈るのが贈り物のセオリー。親であれば、好みやライフスタイルもだいたいわかっているでしょうから、好みの食べ物やライフスタイルに合ったグッズなどを贈るとよいでしょう。受け取った親も「自分のことをよく分かっているな。自分を思って選んでくれたんだな」と思い、喜んでもらえるはずです。
自分ではあまり買わないような少し贅沢なものをもらうと印象に残るし、嬉しく感じるもの。上質なものを知っている親世代への贈り物は、少量でも特別感があるものを贈るのもおすすめです。高品質なものや特別感のあるものを贈られると、自分を認めてもらったような気持ちになりますし、尊敬と感謝の気持ちがより伝わるのではないでしょうか。
「切れる」に通じる刃物や「苦死」を連想させる櫛(くし)をはじめ、生活必需品である肌着や靴下(目上の人に対して)や、「手巾」という漢字が「手切れ」に通じるハンカチなどは、一般的には内祝いにはふさわしくないとされます。最近は気にしない人も増えていますが、マナーにこだわる親には贈らない方が無難です。もしNGとされる品物を贈る際には、マナーは認識している旨を伝え、なぜその品物を贈りたかったのかを説明するとよいでしょう。
商品券やギフトカードは金額がはっきりわかるため、相手に不快感を抱かせることも。ただ、ギフトカードなら好きなものを購入してもらえるうえ、購入のタイミングも選ばないというメリットがあるので、親に打診してみて快く受け取ってもらえそうであれば、問題はありません。贈る際には、親が使いやすい商品券やギフトカードを選ぶようにしましょう。
親への出産内祝いにはどんなギフトがよいでしょうか。おすすめのギフトをアイテムごとにご紹介します。
赤ちゃんの名前や顔写真が入ったギフトは、親への出産内祝いの定番中の定番。赤ちゃんの名前や顔写真が入っているので、記念になるし、特別感もあります。誰もが幸せな気分になれる甘いスイーツは、出産内祝いにふさわしいといえるでしょう。
比較的無難な贈り物として人気があるカタログギフトですが、赤ちゃんの写真が表紙になったカタログギフトなら出産内祝いにぴったりです。赤ちゃんの写真や名前はもちろん、誕生日や出生時の身長・体重も入れられるほか、裏にはメッセージも添えられます。かわいい孫が表紙にプリントされたカタログギフトは、プレゼントを選び終わった後も、きっと宝物になるに違いありません。
赤ちゃんが生まれたときの体重と同じ重さのお米を詰めた体重米も、親への出産内祝いの人気ランキングの常連です。お米を手にしたとき、そのずっしりとした重みに親も孫が誕生した喜びを実感してくれるはずです。こだわりのお米を詰めたギフトは、とくに遠方に住んでいてなかなか赤ちゃんに会えない親におすすめです。
小人数で住んでいる親には、少量でも高品質なグルメギフトもおすすめ。親の好みに合わせて、喜ばれそうな味を探してみましょう。冷蔵・冷凍品を贈る場合は、事前に連絡して、冷蔵庫のスペースを空けておくようにお願いしておくとよいでしょう。
親からは高額のお祝いをもらうことも多いでしょう。1品だけでお返しに見合うものが選べない場合は、組み合わせギフトにするのがおすすめです。無理やり1品を選ぶよりも、より相手の好みに合ったものを選べる可能性も高くなります。カタログギフトやフォトフレーム、タオルなどにお菓子を組み合わせたギフトは特別感もあり、きっと喜んでもらえるはずです。
高品質のフルーツジュースや香り高いコーヒー・紅茶のギフトは、日々の生活にささやかな潤いを届けてくれるでしょう。お酒好きの親にはアルコール類のギフトも喜ばれるはず。比較的日持ちもするので、慌てずに消費してもらえるのも嬉しいところ。名入れができるギフトもあります。
親しく付き合う親とはいえ、内祝いを贈るときはマナーを意識したいもの。全てを杓子定規に考えることはありませんが、基本的なマナーは知っておきましょう。
出産内祝いは赤ちゃんが生まれてから1カ月をめどに贈るのがマナーとされます。ちょうどお宮参りをする頃と考えるとわかりやすいでしょう。ただし、出産後のママと赤ちゃんの状況によっては、遅れても構いません。とくに、親の場合はママや赤ちゃんの状況をわかっている場合が多いので、対応が難しければそれほど焦って贈ることはありません。
出産内祝いに限らず、お祝いのお返しはいただいた金額の3分の1〜2分の1が目安となります。
高額のお祝いをいただいた場合、目安の金額で内祝いを贈ると、内祝いも高額になってしまいますので、目安の金額よりも少なめの金額でも構いません。とくに、親の場合は、内祝いを期待して高額のお祝いを贈っているわけではないはずですから、それほど高額の内祝いを贈る必要はないでしょう。その代わりに、赤ちゃんを見せに帰ったり、家に招いたり、折を見つけて親の好物を贈ったりするなど、日々の対応で感謝の気持ちを表すようにするとよいでしょう。
出産内祝いに限らず、内祝いの品にはのし紙を付けます。のし紙とは懸け紙にのしと水引を印刷したものです。出産内祝いの場合、水引は赤白の蝶結び(花結び)で、水引の本数は7本や5本が一般的です。表書きは「出産内祝」または「内祝」とします。水引の下には、赤ちゃんの名前を書きます。名前にはふりがなを振るとよいでしょう。
出産内祝いは手渡しでも、配送でも、どちらでも構いません。親に会う機会が多い場合でも、内祝いの品を持って帰ってもらうのは大変なことも。そんな場合は、事前に会ったときに感謝の気持ちと共に、内祝いの品を送った旨を伝えるとよいでしょう。会う機会がない場合も、事前に電話やSNSなどで内祝いを送ったことを伝えるのがおすすめです。
配送で内祝いの品を贈るときは、可能であれば品物の中にメッセージカードを同梱するとよいでしょう。また、のし紙は包装紙の下に掛ける「内のし」にします。こうした方が、配送中にのし紙が汚損する恐れがありません。
内祝いを送る際は、事前に感謝の気持ちと送った旨を記した「送り状」を付けるのがマナーとされます。現在では手紙ではなく、電話やSNSなどを利用することが多くなりましたが、いつまでも手元で大切に残しておける手紙で、感謝の気持ちを伝えてみるのも素敵です。改まって親に感謝するのは照れ臭いと感じる人も、自分自身が親になったこのときが、親に気持ちを伝えるよいチャンスと考えてみてはいかがでしょうか。
はじめての妊娠・出産はわからないことだらけで、本当に不安ばかりでしたが、お母さんと話していると不思議と落ち着いた気持ちになりました。それでもいらいらして、不満をぶつけてしまったこともあったね。あのときは本当にごめんなさい。一度ちゃんと謝りたいと思っていました。
振り返ってみると、私はいつもお父さんとお母さんの大きな愛に包まれていたような気がします。これからは私と○○さん(夫)が、□□ちゃん(赤ちゃん)を守っていくんだと思うと、本当にできるかなという気持ちと、やらなくてはならないという使命感がないまぜになります。
これからもお母さんにはいろいろ教えてもらうことがたくさんあると思います。母親業の一歩を踏み出したばかりの私ですが、先輩ママとして今後も温かく見守ってくれたら嬉しいな。
出産のお祝い、どうもありがとう。お礼にお父さんとお母さんが大好きなワインを贈ります。ふたりで仲良く飲んでね。また今度、3人で遊びに行くから、楽しみに待っていてね。
お父さん(お父様)、お母さん(お母様)、このたびは□□(赤ちゃん)のためにお祝いをくださり、本当にありがとうございました。また、出産の際には遠方よりわざわざ□□の顔を見にいらしていただいたうえ、「大変だったね。ゆっくり休んでね」とねぎらいの言葉もかけていただき、とても嬉しかったです。
出産から1カ月が経ちましたが、まだまだ慣れないことが多く、てんやわんやの毎日です。○○さん(夫)は職場の理解もあり、仕事が終わるとすぐに帰宅し、子育てに全面的に関わってくれています。新米パパママですが、早くも子育ての大変さが身にしみて感じられ、○○さんとふたりで改めて親のありがたみを実感しているところです。
これからも子育てについてご相談したり、サポートをお願いすることもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
お祝いのお礼に心ばかりの品をお送りしました。お父さん(お父様)とお母さん(お母様)がお好きなお肉です。すき焼きにするととてもおいしいそうなので、ぜひ召し上がってください。近いうちに、3人でお邪魔させてくださいね。
きょうだいや親戚、友だち、職場へ出産内祝いを贈る際も、基本のマナーは変わりません。
内祝い(お返し)を贈るタイミングは、赤ちゃんの誕生から1カ月以内、またはお祝いをいただいてから3週間以内がマナーですが、ママや赤ちゃんの体調に合わせて、無理のない範囲で対応しましょう。なお、お祝いをいただいたら、3日以内を目安に電話や手紙などで取り急ぎお礼を伝えておきましょう。親しい間柄であれば、メールやSNSでも構いません。
金額はいただいたお祝いの3分の1〜2分の1程度が目安です。連名のお祝いなどで1名分が低い金額の場合は、半額〜同額を目安としましょう。
贈る品物は相手の趣味や好みに合ったものを。家族構成や年齢、ライフスタイルも考慮するとよいでしょう。食べ物は日持ちのするものを選び、職場などへ贈る場合はみんなに分けやすいように個装のものがおすすめです。親戚への内祝い(お返し)で、何を贈ったらよいかわからないときは親に相談するとよいでしょう。なお、品物ののし紙も同様に掛けます。
親に対する内祝いは水臭いと考える向きもあるかもしれませんが、親しい間柄とはいえ、感謝の気持ちを伝えるのは大切なことです。内祝いは普段照れ臭くて伝えられない気持ちを伝えるよい機会だと考え、親が喜びそうなものを贈るのがおすすめです。
岩下宣子さん マナーデザイナー
マナーデザイナー。「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流・小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業や学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作も手掛ける。
※記事中のデータおよびコメントは、2023年6月に20〜70代の男女312人が回答したマクロミル調査によります