記事公開日:2019年8月30日
最終更新日:2022年10月28日
のしは、出産内祝いを贈る相手に敬意を表す大切なもの。のし(熨斗)の書き方、掛け方のマナーを学んで、お相手に失礼のない、心が伝わる出産内祝いのギフトを贈りましょう。
現在、のし紙と呼ばれるものは印刷された用紙が一般的ですが、これは略式。「のし」という名前は「のし鮑(あわび)」から由来しており、古来の日本では貴重だった海産物の鮑を薄くむいて、叩き伸ばして乾燥させたものを品物に添えて贈っていたのが本来の形でした。現代では、のし鮑を模したイラストと水引が印刷された紙のことをのし紙と呼び、のし紙が掛かった品物は正式な贈り物とされています。
のしは包装紙の内側に掛ける「内のし」か、外側に掛ける「外のし」のどちらかを選べますが、郵送するときはのしが汚れないよう「内のし」にしましょう。手渡しをするときは、相手がのしを見てすぐ、何のギフトかがわかるように「外のし」を選んで。
出産内祝いでは赤白の「蝶結び」の水引を使うのが一般的です。「蝶結び」は、結んでほどいてまた結び直すことができるため、「またお祝い事がありますように」との願いが込められています。水引には5本・7本・9本とあり、数が多いほど豪勢なお祝いになりますが、出産内祝いには5本の水引を使うのが一般的とされています。よりていねいに感謝の気持ちを伝えたいときなどには、7本の水引を選びましょう。
贈り物の意味を表すため、のし紙には表書きをします。水引の上に「出産内祝」または「内祝」と書きましょう。
出産内祝いは赤ちゃんのお披露目をする意味が込められているため、「水引の結び目の下」に赤ちゃんの名前を書きます。赤ちゃんの名前が読みにくい場合はふりがなをつけるとよいでしょう。
双子の場合は、右に先に生まれた赤ちゃんの名前、左に後から生まれた赤ちゃんの名前を書きます。三つ子以上の場合も右から左の順で書くのが一般的です。
職場の上司や同僚から個人でいただいた場合は、一般的な表書きで直接手渡ししたり、ご自宅に送ったりすれば問題ありません。職場の部署からいただいて、赤ちゃんの名前を伏せておきたい場合は自身の姓だけでも大丈夫です。また、赤ちゃんの名前を入れた命名札を添える場合も姓だけでかまいません。
のしの書き方やマナーを間違えると、お相手へ失礼にあたる場合があります。赤ちゃんが生まれた報告と、感謝の気持ちをしっかりと伝えるためにもマナーを知ったうえで出産内祝いを準備しましょう。
岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。