入学内祝い(お返し)のマナーとタブー

入学内祝い(お返し)のマナーとタブー

入学祝いをいただいたら、お返しとして「内祝い」を贈るのが一般的なマナーですが、対応を間違えるとせっかくのお祝いの気持ちに水を差すことにもなりかねません。この先ずっとよいお付き合いを続けていくためにも、きちんとマナーを押さえておきましょう。今回は、知っておきたい内祝いのタブーについても一緒にご説明します。

「入学内祝い」とは?マナーも含めてザッとおさらい

「入学内祝い」とは、入学祝いをいただいた際に贈るお返しのことを言います。もともとは身内のお祝いで、親族で食事をしながら子どもの成長を喜ぶのがことの始まりでしたが、今では親しくしている身内以外の人からお祝いをいただくケースも少なくありません。

「内祝い」を贈る時期の目安は入学式の後3週間~1カ月以内。選ぶ品物の金額はいただいた物の3分の1~半額とされています。ただしお祝いが高額な場合はその限りではなく、地域のしきたりや親族間の取り決めなどが優先されることもあるので、周囲の意見も聞きながら失礼のない対応をしたいものです。

次に、入学内祝いを贈る際に気を付けるべきマナーや、知っておきたいタブーを一緒に見ていきましょう。

[マナー違反1]お礼の言葉がない、贈る時期を間違っている

入学祝いをいただいたら、まずはお礼の言葉と共にきちんと受け取ったことを相手に伝える必要があります。忙しいからといってスルーするのは最もしてはいけないこと。何の音沙汰もないと相手は無事に届いているかどうか不安になりますし、せっかくのお祝いの気持ちもしぼんでしまいます。

内祝いを贈るのは入学式が終わってからになりますが、早めにお祝いをいただいた場合は先にお礼状を出し、後日改めて内祝いを贈る旨を伝えておくとよいでしょう。ちなみに受け取った後、間髪入れずに内祝いを贈るといった「早すぎるお返し」もマナー違反。事前に用意していた印象を与えかねないので気を付けて。

なお、お祝いをもらうのは親ではなく子ども自身ですから、子どもからもきちんとお礼の言葉を伝えることが大事です。


[マナー違反2]お返しの金額が少なすぎる・多すぎる

<表書きは、相手との関係性や包む金額に応じて>

内祝いの目安となる金額は、いただいた品物の相場の3分の1~半額程度。それをはるかに下回る物を贈ると失礼になりますので気を付けましょう。逆に相場より高い物や、いただいた品と同じような物をお返しするのもマナー違反です。

一方、高額な入学祝いをもらった場合、お返しが半額だと負担が大きいので3分の1程度でも構いません。祖父母(子どもの親の両親)など近い親族からはランドセルや学習机といった高価なお祝いをもらうことも多いと思いますが、相手もお返しを望んでいるわけではないので相場通りでなくても大丈夫です。

また、年長の親戚や職場の上司といった目上の人に対しては、お返しの金額が高すぎるとかえって失礼になるので、半額ではなく3分の1程度にとどめておきましょう。

[マナー違反3]のし紙の選び方や書き方が間違っている

入学内祝いは「のし紙」を掛けて贈るのがマナー。子どもの入学は喜ばしいことで何度あってもよいとされることから、のし紙に印刷された水引は、繰り返し結び直すことのできる赤白または金銀の「蝶結び」の物を使うのが基本です。

のし紙の書き方にも気を配って。表書きは「内祝」もしくは「入学 内祝」としますが、水引の下には親の名前ではなく、お祝いを贈られた子ども本人の名前を入れます。小学生は下の名前を、中学生以上はフルネームで書くのが一般的です。

こちらもきちんと目的を伝えて購入すれば間違えることはほぼありませんが、品物を購入した後、自分で包装しようと思っている人は気を付けましょう。
『ゼクシィ内祝い』では、ギフトに添えるメッセージカード(定型・オリジナル)を無料でご用意しています。用途に応じた物を間違いなく選ぶためにも、ぜひチェックしてみてください。

[マナー違反4]贈る相手の事情に配慮していない

贈り方にもある程度の配慮が必要です。大事なのは受け取る側の状況を考えながら贈るということ。例えば留守がちな人に生物(なまもの)を送る、単身世帯の人に対して一人では持て余すような量の物や冷蔵庫に入りきれない食品を送るというようなケースです。

賞味期限が短すぎる物も避けた方が無難。生クリームを使ったお菓子なども保管状態によっては食中毒を起こしかねないので、十分に気を付けましょう。

さらに「体験型」のギフトなどにも配慮が必要。体験型ギフトには、旅行や温泉、エステ&スパ、アウトドア体験、レストランの食事などさまざまなジャンルがありますが、そうしたことにあまり興味のない人、忙しくて時間がつくれない人、持病などで体験そのものに制限がある人など、相手の事情はさまざまです。日頃から相手の嗜好や行動をよく知る間柄なら構いませんが、そうでない場合はよく考えて選ぶことが必要です。

[マナー違反5]縁起がよくない物を選ぶ

皆さんは「忌み言葉」というものをご存知ですか?例えば「くし」はその音の響きから「苦」「死」を連想させ、慶事の贈り物には適さないとされています。気にしない人ももちろんいますが、親世代や目上の方の中にはそのような物が贈られてくると失礼だと感じる方もいらっしゃるので、避けた方が無難です。

お礼状や内祝いに添えるメッセージカードの文言にも注意が必要。先方に入学試験を受けた子どもがいる場合は、うっかり縁起の悪い言葉を使わないようにしましょう。
忌み言葉を連想させる品物や、お礼状などを書く際に避けた方がよいワードは以下の通り。

<縁起が悪いとされる品物>
  • ・くし(苦+死を連想させる)
  • ・ハンカチ(別れや涙を連想させる)
  • ・ハサミ、ナイフ(切れるという言葉を連想させる)
  • ・繊細なガラス製品(割れる、壊れることを連想させる)
  • ・日本茶・緑茶(弔事の際に使われることが多い)

<お礼状などに書かない方がよい忌み言葉>
  • ・滑る
  • ・落ちる
  • ・負ける
  • ・敗れる
  • ・終わる
  • ・泣く
  • ・悲しい
  • ・悔しい
  • ・失敗

まとめ

入学内祝いは、子どもの成長を喜び、共に祝ってくれる方への大事なお返しですから、感謝の気持ちが伝わるようマナーを守り、細心の注意を払って贈りましょう。

マナー監修

岩下宣子さん マナーデザイナー

「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流・小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業や学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作も手掛ける。

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