記事公開日:2022年4月22日
最終更新日:2023年10月30日
小学校入学から、中学校、高校、大学まで子どもの成長をみんなで喜ぶ、おめでたいお祝いごと。そんな入学を迎えた際に贈るのが「入学祝い」です。
入学祝いを贈る親しい仲だからこそ、マナーを間違えて失礼にあたることがないよう注意も必要。入学祝いを贈るときの、意外と知らない基本のマナーから相場まで丁寧に解説していきます。
身近に入学を控えるお子さんがいる人は、「入学祝い」を何にするか迷っているのではないでしょうか。
そこで、マナー講師・岩下宣子先生に入学祝いの贈り物についてお話を聞いてみました。
「入学祝いに贈るものとして現金か品物かの決まりはなく、どちらでもよいでしょう。ただ、現金は消えますが、品物は残ります。誰からもらったか、使うたびに思い出し、うれしいものです。本当に喜んでもらえるものや使ってよかった!と思えるものでしたら、現金よりも品物がおすすめです。」
ポイントは、「親に聞いて必要なものを贈る」ことです。子どもの年齢に合わせて必要なもの、喜ばれるものを贈りましょう。
品物の場合は、できるのであれば希望を聞くのが一番よいです。ただ、聞かれた側もどれくらいの金額のものをリクエストしてよいのか価格帯がわからないと答えにくいので、「靴がよいか、ブラウスがよいか」など具体的にいくつか候補を出して、聞いてみましょう。
また、中高生など年齢が進むにつれて、持ち物やファッションにもこだわりが出てくる世代です。ただ、親や学校の教育方針に反するもの、日常使いできない高価すぎるものなどを贈るのはおすすめしません。
祖父母からはランドセルや学習机。色やデザインも豊富なので、本人や親の意向を尊重しましょう。これからの学習に役立つ図鑑や辞書、名入れ文房具、図書カード、毎日使えるハンカチや靴など。
中学生になると、本人の好みがはっきりとしてきます。少し大人に近づく頃。「おしゃれ」と「実用性」がポイントです。イヤホンやヘッドホンなどのオーディオグッズ、靴、文房具など。
欲しいけど自分ではなかなか買えないものがおすすめ。通学に使う定期入れや財布、時計など。ギフト券や現金を贈るのも無難です。中高一貫校の場合も、高校入学の時にはお祝いをしましょう。
男女共に入学式にスーツを着ることが多いので、初めてのスーツを贈るのもよいでしょう。一人暮らしなど新生活が始まる場合は家具・家電、ギフト券や現金も喜ばれるでしょう。
親戚や親しい友人などさまざまな方面からお祝いをいただくこともあるので、品物を贈る場合はほかとかぶらないよう、早めに親へ確認しておくのがスマートです。
基本的な相場金額は、5000〜2万円です。
小学校、中学校、高校、大学と年齢が上がるにつれて、金額も上がっていくのが目安です。
◯小学校入学……5000円
◯中学校入学……1万円
◯高校入学……1〜2万円
◯大学入学……2万円
祖父母、伯父伯母、きょうだいなど、入学祝いを贈る側と入学する子どもとの関係性によっても金額は異なり、関係が近いほど高額になるのが一般的です。
例えば、小学校入学の相場
◯祖父母から 1万〜5万円
◯叔父叔母か 1万〜2万円
◯友人から 5000円〜1万円
小学校入学の際、祖父母からはお金ではなくランドセルを贈ることも多いですが、年金暮らしの祖父母など場合によっては負担になってしまわぬよう無理のない範囲で。お祝いするときに大事なのは、心からお祝いする気持ちです。
ポイントとして、
現金で入学祝いを贈る場合は、お菓子や食べ物などをちょっとしたギフトを添えるとより良いでしょう。お祝いのその時期に家族で楽しめる物が喜ばれます。
「入学式の前」までに贈りましょう。
入学が決定している場合は3月初旬〜中旬あたりがベスト、受験を伴う入学の場合は合否が決まってから贈るのがマナーです。
卒業と入学のタイミングが近く、どちらをお祝いすればよいか迷ったら、「入学祝い」を優先させましょう。過去のことではなく“先にあること(新しいこと)”をお祝いするためです。例えば、小学校の卒業より、その先にある中学校の入学をお祝いします。
このご時世、なかなか直接会えない場合は郵便などで送るのも、もちろんOK!
大きい荷物を送る場合は、相手の受け取る準備ができるよう、あらかじめ都合のよい日を確認してからに。品物を送る場合は、宅配便や普通郵便で問題ありませんが、現金やギフトカードを送る場合は、郵便局から現金書留で送りましょう。
宛先は、入学する子ども本人と親の名前、両方を書くと良いです。
送るときには、手紙やカードを付けてお祝いの気持ちを言葉にして伝えましょう。「入学おめでとう」と一言添えるだけでも、現金だけを送るよりも丁寧であたたかく、お祝いの気持ちが伝わります。
入学祝いは慶事です。親しい人へのお祝いだとしても、カジュアルな贈り物ではないので、のし紙はしっかりとかけて贈りましょう。
◯品物で贈る場合は……
のし紙の表書きは、「御祝」「御入学御祝」「御進学御祝」など。
◯現金で贈る場合は……
のし袋に現金を入れて渡します。表書きは、「御祝」「御入学御祝」「御進学御祝」のほか、「文具料」「絵具料」など買ってもらいたいものの名前をいれて『料』をつけるのもOK。
のし袋の水引は「赤白の蝶結び」を選び、新札を入れます。
入学や卒業、小学校から中学校、高校と続いて何度あってもおめでたいお祝いごとなので、何度でも結び直せる「蝶結び」ということです。*関西では「あわじ結び」です。
のし袋には、中袋と呼ばれる白い封筒があります。この中袋に現金を入れて贈ります。中袋には誰からの贈り物であるか氏名・住所と、いくら入っているのか「金 ◯万円」と金額を書きます。漢数字の一、二、三ではなく、大字の壱、弐、参と書きます。*金額が書き換えられないようにするためです。
子どもの年齢や、お祝いする子どもとの関係性によって相場は変わってきますが、基本的なマナーは変わりません。
子でもの成長を心から喜び、新しい門出を応援したい、お祝いしたいという気持ちを表す「入学祝い」。心からお祝いする気持ちを大事に、相手が喜ぶものを贈りましょう。
岩下宣子さん マナーデザイナー
現代礼法研究所主宰。NPO法人マナー教育サポート協会理事・相談役。企業をはじめ、学校・商工会議所・公共団体などで、マナー指導や講演などを行う。「マナーとは相手を思いやること」を信条に、ゼクシィでも悩める花嫁さんへの愛あるアドバイスでおなじみ。マナーに関する著書多数。