記事公開日:2022年9月5日
最終更新日:2023年5月11日
結婚式に出席していない人から結婚のお祝いを頂いたら、お返しとして結婚内祝いを贈ります。その際に気を付けたいのがのし紙。結婚内祝いの品物にはのし紙を掛けるのがマナーですが、どのようにしたら良いのかわからないという人も多いのでは?ここでは、結婚内祝いの贈り物に掛けるのし紙について、徹底解説します。
結婚内祝いに限らず、お祝い事に際して贈り物をする場合にはのし紙を掛けるのがマナーとされます。のし紙とはいったいどんなものなのか、なぜ掛ける必要があるのか、結婚内祝いに使用するのし紙はどんなものかなど、まずはのし紙の基礎知識をご紹介します。
まずは熨斗(のし)について見てみましょう。のしとはご祝儀や贈り物などに添えられる飾りのことを言います。もともとは品物などを包装した上に干したあわびを添えたもので、のしあわびとも呼ばれていました。あわびは長寿の象徴であり、昔からお祝い事には欠かせない縁起物だったのです。
とはいえ、本物のあわびをその都度調達するのは大変で、いつしか紙で作ったもので代替するようになりました。これが折のし(のし飾り)です。現在ではさらに簡略化が進み、掛け紙にのしや水引(飾り紐)を印刷したものに変わりました。これをのし紙と言います。贈り物などにのし紙を掛けることで、「かしこまった気持ちで贈り物をする」という気持ちを表明しているのです。
のし紙にはいくつかの種類があります。どのような用途で使用するかによって、選ぶべきポイントがあります。ポイントを一つ一つ見ていきましょう。
●のし
慶事の場合、右上にのし飾りが印刷されているかけ紙(のし紙)を使用します。一方、弔事の場合には、縁起物ののしが印刷されていない掛け紙を使用します。なお、慶事でも贈る品物が肉や海産物など生ものの場合は、のしのない掛け紙を用います。これは、のしが生ものの象徴であり、のしをつけると意味が重複してしまうためです。
●水引の種類(色や飾り紐の本数、結び方)
水引とは贈り物に掛ける飾り紐のことです。のし紙にはのし飾りと共に水引も印刷されています。慶事の場合、色は赤白となり、飾り紐の本数は5本、7本、9本と奇数となります。なお、婚礼の場合は、5本の水引を2つ合わせた10本のものが好まれます。
また、水引には結び方がいくつかあり、婚礼に使用するのは結び切り(結び留め)やあわじ結び(あわび結び)です。どちらも紐を引っ張ってもほどけない結び方で、「結婚は1度きりで、繰り返さない」あるいは「固く結ばれた末長いおつき合い」といった意味が込められています。
慶事に使用される水引の結び方としては、蝶結び(花結び)もありますが、こちらは紐を引っ張るとほどけてしまうため、出産や進学など何度繰り返しても嬉しいお祝い事に対して使用されます。
結び切り(結び留め)。結婚内祝いにおすすめ
あわじ結び(あわび結び)。結婚内祝いにおすすめ
蝶結び(花結び)。結婚内祝いには不向き
●表書き
表書きとは水引より上部に書かれる文字のことで、贈る目的を示しています。結婚内祝いの場合は、「内祝」、「寿」、「御礼」などと書かれているものを選びます。なお、文字が印刷されていないのし紙の場合は、自分で文字を書き入れます。
のし紙は品物にただ掛ければいいというものではありません。何をどう書けば良いのかご説明しましょう。
先にも説明したように、水引より上部に贈り物の目的を書き入れます。もし何も書かれていないのし紙を選んだ場合は、ここに「内祝」、「寿」、「御礼」などと書き入れます。水引より下部には贈る人の名前を書き入れます。
結婚内祝いの場合は、以下のパターンが考えられます。
1.結婚後の新姓のみ
2.ふたりの名前のみを連名で(右から順に夫の名前、妻の名前)
3.新姓の下にふたりの名前を連名で(右から夫の氏名、夫の名前の横に妻の名前)
4.「●●家」と「■■家」というように両家連名で(右から順に夫の姓、妻の旧姓)
どのパターンにするかはふたりで相談して決めると良いでしょう。なお、親戚への結婚内祝いののし紙は、親とも相談するのがおすすめです。
新姓+ふたりの名前を書くパターン
なお、職場では旧姓を使用するなどの理由で、旧姓を書きたいという人もいるかもしれません。けれども、結婚内祝いの名前は新姓がおすすめです。新姓では誰から贈られたのかわからず、相手を困惑させてしまうのでは?という場合は、メッセージカードや送り状などにその旨を記載したり、配送伝票に旧姓を記すなどすると良いでしょう。
表書きや名前を書く際には、毛筆や筆ペンを使用します。ポールペンや万年筆などはNG。サインペンも避けたほうが無難です。濃い墨色を選び、黒々と書くのがポイントです。ていねいに楷書体で読みやすいように、気持ちを込めて書きましょう。名前は表書きよりも少し小さい文字で書くと、全体のバランスがきれいです。なお、通販などで購入し、そのまま相手側に配送する場合は、表書きや名前は指定すれば書き入れてもらえる場合が多いようです。
では最後に、品物にどのようにのし紙を掛けるのかを見ておきましょう。のし紙の掛け方には内のしと外のしがあり、それぞれ特徴があります。
内のしとは品物にのし紙を掛け、その上から包装するやり方で、包装紙を取らないとのしが見えません。配送で内祝いを贈る場合は、内のしがおすすめ。包装紙でのし紙をくるむため、配送中にのし紙が汚れたり、破れたりするのを防げます。なお、結婚内祝いを配送する場合は、送り状を出したり、メッセージカードを同梱するなどしましょう。ゼクシィ内祝いでは、オリジナルのメッセージカードをつけることができます。
外のしとは贈り物を紙で包装した上からのし紙を掛ける方法。一目で贈り物の目的や贈り主がわかります。もし結婚内祝いを対面でお渡しするのであれば、外のしがお勧めでしょう。
連名でお祝いを頂き、それぞれへお返しを贈る場合、贈り物が小さくなってしまうことがあります。そんなときは、無理にのし紙を掛ける必要はありません。センスよくギフトラッピングをし、メッセージカードを添えるなどして、改まった気持ちを伝えましょう。
結婚のお祝いをくださった方へ感謝の気持ちを表す結婚内祝い。品物だけではなく、のし紙など細部にまで気を使い、ふたりの誠意を伝えたいものです。
岩下宣子さん マナーデザイナー
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流・小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業や学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作も手掛ける。